理事長所信

一般社団法人甲府青年会議所
2017年度理事長 中沢雄一

2017年度理事長 中沢雄一

懸け橋

すべては地域の未来のために・・・・

はじめに

 戦後の荒廃した時代、志高き勇気ある青年達の行動から日本に青年会議所の灯が点り、1949年「新日本の再建は我々青年の責務である」と宣言し、青年会議所運動が始まりました。「修練」「奉仕」「友情」の三信条を掲げ、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、あらゆる苦難を乗り越えながら、成長を続けてきた背景には、我々には計り知ることのできない先輩諸兄の努力と精神力が存在します。その先輩諸兄に敬意と尊敬の念を抱きながら活動を続けてきた我々(社)甲府青年会議所は昨年創立65周年という節目の年を迎え、「ふるさとを愛する心」を地域住民とともにひろめてまいりました。

心と心の懸け橋

 現在の日本は、少子高齢化・人口の減少・災害被害・医療・福祉・教育・雇用の創出など、我々がこれまで経験したことのない様々な課題が山積しており、状況も日々変化しております。しかしながら、我々は常に目線を前へ向け、多くの地域住民とともに成長していかなければなりません。2015年から国の政策として、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした「地方創生」が取り上げられ、各都道府県並びに市町村独自の総合戦略を策定する中で、それぞれの特性を活かしたまちづくり運動が求められてまいりました。地域性を活かしたまちづくり運動を進めるためには、青年会議所のスケールメリットや国際ネットワークの機会を提供し、地域とのつながり・行政との連携・地域住民の心と心をつなげる「懸け橋」が必要不可欠であります。青年会議所が地域に対して何かをするということではなく、時代の変化に応じた中で、地域住民が何を求め、何を考え、地域をどのようにしていきたいと考えているのかを真剣に話し合い、行動に移していくことが我々青年会議所の果たす役割であると考えます。その労力が一人でも多くの地域住民の笑顔に繋がっていけるように日々の活動を継続的に実践していきます。

地域の魅力を活かした「持続可能な社会」を目指して

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催、2027年のリニア中央新幹線の東京~名古屋間開通へ向けた動きや中部横断自動車道開通などにより、この「山の都」の環境は大きな変貌を遂げると予想されます。スポーツ振興の促進・交流人口増加などあらゆる可能性を追求しながら、行政・企業・学校・地域住民が固い結束力のもと行動していかなければなりません。我々が住むこの地域「山の都」には、自然・文化・歴史・食・風土・景色・スポーツなどのあらゆる魅力が混在しております。この魅力を単なる資源として捉えるのではなく、その地域資源の有効性を見つけ出し地域の人に誇りに思ってもらおうと努力する人々のつながりそのものが「地域の宝」であり、「地域の魅力」であると考えます。地域を愛し、誇りに思うことによって、この地域の為に何をしなければならないのか、この地域を良くする為には、どのような行動をとらなければならないのか、そのような事を考えた時、必ず生まれるのが「人とひとのつながり」であると私は考えます。2017年度は、この「人とひとのつながり」の機会を創出するために、地域住民一人ひとりが、自分たちのまちは自分たちで考え自分たちで創るという強い想いを持ち、新しい価値を創造する中で連携を図り、「自立したまち」を創り上げていく事を理念とし、活動を展開していきます。あらゆる変化を地域の成長へのチャンスと捉え大きく飛躍していくためにも、まずは会員の志を集結し、価値ある組織へ、信頼される組織へと発展しながら、地域住民と共に創る、自立した地域、いわゆる「持続可能な社会」の創造を目指し、多くの地域住民とともに歩みを進めてまいります。

「共感力」が地域を動かす「原動力」になる

 「持続可能な社会」とは、「環境」「経済」「人間・社会」のバランスがとれた社会。「人間・社会」という観点からみると、「一人ひとりの市民が自立し、健康で文化的な生活を営むだけでなく、自然・次世代・他の地域などと関連性を持ち、多様な豊かさを実感できる市民社会であること」と定義したうえで、この「山の都」を「持続可能な社会」に導くために我々が今できることは、地域住民・行政・企業・各種団体との連携により、強固なネットワークを構築しながら地域との共生を遂げていく事であります。具体的には「人を動かす力」を養い、地域社会へ「共感力」として伝播していくことで、「心と心の懸け橋」を紡いでいきます。何か物事を成し遂げようとしたとき、一人の人間の力では限られているため、成し遂げようとする物事が大きければ大きいほど、多くの人を巻き込み、その人達にも動いてもらう必要があり、この周囲の人に動いてもらう状態になることを「人を動かす」と言います。そして、ここに「想い」と「言葉」が加わることにより、「人を動かす力」となり、新しい価値が創出され、「共感力」へと進化し、「共感力」が「行動」へと繋がります。「共感力」を兼ね備えた「行動」こそが、地域を動かす「原動力」になると位置づけ、新しいアイデアを駆使しながら、物心共に豊かな幸せの追求と利他の精神から育まれる感謝の心を養い、継続的な行動を展開しながら、夢ある未来を確信していきます。

≪地域力向上室≫

【地域の宝浸透】

 この「山の都」には、数多くの「地域の宝」が存在します。「地域の宝」は多くの地域住民が「共感」することで、地域を動かすうねりとなり、地域力の向上が図られます。(社)甲府青年会議所はこれまで、地域を代表して活躍するスポーツチームの支援・活用から生まれる地域住民同士の繋がりやふれあいの機会を提供し、夢見る大人や子供の創出につなげてまいりました。これからもスポーツは人々を健康にし、また感動を与えたりするだけではなく、連帯感や協調性、いたわりや助け合いの精神を育み、地域コミュニティの形成や住民主導のまちづくりにおいて重要な役割を果たすと考えております。この地域を愛し、誇りに思う人々が、元気にいきいきと住み続けられるまちをつくっていくために、行政・企業・地域住民との関わりを深め、連携を強化しながら、5年後・10年後の「山の都」の明るい未来を思い描きます。そして、スポーツを通じて生まれる「人とひとのつながり」の機会を創出し、「地域の宝」を地域全体に浸透させ、自分自身の故郷に誇りと自信をもつことのできる人々で溢れる、この地域独自の「自立したまち」をつくることで、地域住民同士の心を繋ぐ「懸け橋」となり、さらなる地域力の向上を目指します。

【これからのまちづくり】

 我々は今日まで、この地域を良くしたい、活性化させたいといった目的がつなげる共通の価値観のもと、様々な団体・組織とともにまちづくり運動を展開してまいりました。近年では、地域住民主導による地方創生事業の促進や交流人口増加・高齢化社会に対応するための施策が試されており、日本青年会議所においても日本版DMO・日本版CCRC・VSOP運動などあらゆる発想から生まれる新しいまちづくり運動が活発化しております。今だからこそ我々青年会議所が、地域住民・行政・企業・学生・NPO・まちづくり団体とのこれまでの繋がりを継続しながらも、青年ならではの発想力と国際機関であることのスケールメリットを活かした形で「山の都」の発展に寄与しなければなりません。我々は、青年経済人として、地域が抱える課題から日本を考え、世界を考える必要があります。そして世界に見識を広げ、日本、地域を考える。このように様々な角度からグローバルに考え、地域から行動することがこれからのまちづくりには欠かすことができません。この「山の都」を、心から豊かで活力ある地域にするために、姉妹JCや姉妹都市との友好関係を活用し、海外の地域活性化事業の先進事例や交流人口増加に対する施策からの学びを得ながら、青年会議所にしかできない「共感力」を生み出すことで、まちを愛する組織と組織を繋ぐ「懸け橋」となり、これから求められる新しいまちづくり運動を実践していきます。

≪次世代きょういく推進室≫

【次代を担う青少年育成】

 「持続可能な社会」の実現には、次世代を担う子どもたちの為の自立した教育環境の創出が必要不可欠であります。人はひとりでは生きていけません。生まれてから生涯を終えるその時まで多くの人に出会い、学びを得られながら、助けられながら、共に生きる喜びを感じながら、「自立した個人」へと成長をしていきます。その個人がしっかりと教育を受け、体得し、伝播していくという流れの繰り返しによって、この地域ならではの道徳観や倫理観ならびに地域コミュニティが形成されていきます。教育・共育・郷育と様々な視点からの「きょういく」に対して、本気で取り組み、これから先の未来を支えていく青少年を育成するには、本当にいまやらなければならない「きょういく」があります。日本の歴史・生まれ住むこの地域の歴史・自らの先祖を知ることによりこれまで感じることができなかった「感謝の心」をはぐくむとともに、日本の美徳やその根底をなす道徳を丁寧に理解する機会を創出し、「山の都」に住む一人でも多くの青少年を次世代への「懸け橋」とすることで、次代を担う青少年を育成してまいります。

≪人財開発室≫

【拡大研修】

 全国的にも会員減少が叫ばれる中、(社)甲府青年会議所も会員の減少問題が深刻化し、なかなか現状を打開できずにもがいている状況下にあります。今一度、なぜ会員拡大をしなければならないのかを真剣に考えなければいけません。「明るい豊かな社会」の実現を目指すうえで、その志を同じくする仲間が多ければ多いほど、地域住民を巻き込んだ運動展開が可能になります。ただ、人が増えれば良くなるという訳ではなく、これまで培ってきた人脈やつながりの広さを活かしながら、地域に必要とされる人財を発掘し、会員一人ひとりが誠心誠意、真心を込めて会員拡大に取り組む必要があるのです。地域を代表する企業からの人財の紹介、様々な事業で関わりを持つ中での他団体からの紹介、女性会員の拡大等、これまでのつながりを無駄にすることなく丁寧にアプローチをかけ、積み重ねていく姿勢を忘れずに会員全員で取り組む拡大運動を展開してまいります。また、多くの人々の心を動かすには、我々がおこなっている活動に対し、共感をしてもらわなければなりません。その「共感力」を高めるために、能力開発と指導力開発に特化した研修をおこない、成功者からの教えを学び、目的を定め、内発的動機づけに基づいた思考を持つ青年経済人との交流を繋ぐ「懸け橋」となることにより、組織の発展、地域の発展に繋げていけられるような「持続可能」な拡大研修事業を展開してまいります。

≪財務室・総務室≫

【総務・メディア】

 組織を形成するうえで、財務運営・総務運営は非常に重要な役割を担っており、肝心要の組織の屋台骨であります。会員が活動しやすくなるように、議案を精査し、計画通りに進んでいるかを審査することで、より地域に影響力のある事業展開をおこなうことができるとともに、会議の効率化を図り、円滑な総務運営を的確におこなっていく必要があります。また、厳正かつ的確な予算執行を有効的におこない、各事業の予算配分をしっかり見極め、予算以上の効果が見いだせるような財務運営に努めてまいります。さらに盤石な組織を形成していくためには、例会や事業における情報発信を組織として効率よく効果的に遂行する必要があります。現在あらゆる情報ネットワークが発達し、様々な媒体が情報発信ツールとして活用されております。これまであたりまえのように活用してきたホームページやSNSを用いた情報発信は、これまで同様有効な情報伝達の手段であることには変わりありません。しかし、ただ単に発信することが大切なのではなく、地域にとって必要とされ、心に響く情報発信が必要不可欠であります。これからは「伝える」から「動かす」という情報発信の姿にシフトチェンジしていかなければなりません。そのために組織全体の責任として、効果的な広報活動を推進し、人とひとのつながりから生まれる情報発信を的確におこなってまいります。今の時代にあった効率的で適正な組織運営をおこなうことで、目的を明確とした事業や例会を効果的に遂行するための「懸け橋」となり、「真心」を込めた運動を展開してまいります。

【総合計画】

 2016年度、我々(社)甲府青年会議所は「山の都」のあるべき姿を思い描きながら、先輩諸兄が築きあげてこられた伝統と想いを継承するべく、「総合計画2016」を策定し、2017年度からの5か年の行動指針を会員全員の共通認識のもと明確なものといたしました。先輩方の「想い」「言葉」「行動」によって育まれた経験とこれからのまちづくり運動をより、効果的かつ効率的におこなえるように、単年度制であることの利点を存分に活用し、会員に総合計画を浸透させ、1年1年の検証を明確に実践し、「明るい豊かな社会」の実現のための運動展開をおこないます。

【諸事・災害】

 我々の活動エリアである3市1町とのさらなる結びつきを強めることを念頭におき、災害に対する会員への意識改革と3市1町との防災協定及び災害ネットワークの構築を見据え、自助・公助・共助の精神を地域住民とともに養える基盤づくりをおこなうとともに、突発的な地域における諸事に対して柔軟かつ迅速に対応いたします。

【出向・渉外】

 甲府JCは全国で13番目にできたとても古く伝統のある青年会議所であります。その責任と誇りをしっかりと持った中で出向する会員は、常に出向先でもトップリーダーとなり、他の青年会議所のメンバーを引っ張っていかなければならない存在であると考えております。今日の(社)甲府青年会議所を作ってきていただいた先輩達は出向先でもしっかりと経験を積み、大きな役職を担ってきていただきました。その経験のおかげで、今の(社)甲府青年会議所の存在意義というものを確立してきていただいたと考えております。その先輩達の功績に報いるためにも、常に高い意識を持ち甲府の代表として、山梨の代表として、関東地区の代表として、出向先のメンバーを引っ張っていかなければならないと考えております。そして、各地で行われる渉外事業に積極的に参加し、各出向先で奮闘する出向者の支援をするとともに、国際組織であることのスケールメリットを存分に活かし、LOM間交流にも積極的に取り組める雰囲気を醸成させ、出向・渉外の魅力を全会員へ伝承していきます。

【組織連携】

 我々は、一つの組織体であります。単年度制であることにより、具体的な目標設定が定められ、会員相互が連携を図りながら同じ志のもと、活動を続けていく事がある一定の成果を生み出します。その成果を会員同士が認め合い、共存・共栄していくには、各委員会・会議体のおこなう事業や例会を我が事と捉え、理解しあい、学びあいながら共に成長をしていく必要があると考えます。委員会の枠を超え、会員同士が情報を共有することでつながる会員と会員の「絆」こそが、組織力の強化につながり、一つの組織体としての社会を動かす「原動力」につながると考え、組織連携の推進を図ります。

【LOM活性化】

 我々は、例会や事業を通じて地域や組織の発展を常に意識しながら活動をおこなっております。その例会や事業を構築するためには、ひとつの事柄に対し真剣に取り組む仲間通しのつながりが必要不可欠であります。会員相互の一体感や連帯感を地域に伝播することで、(社)甲府青年会議所の存在意義が増し、日々の活動がより意味のあるものとなり、地域を動かす「原動力」になると考えます。例会運営を通し、委員会相互の結束力を強固にするとともに、親睦事業を有効的に実践し、会員相互の絆を強め、お互いに「感謝」しながら活動できる関係性を構築することで会員同士の「懸け橋」となり、LOMの活性化を図ります。

結びに

 (社)甲府青年会議所会員一人ひとりの小さな成功体験が、地域住民・地域社会の大きな成長に必ず繋がります。自らの足元を見つめ直し、あらゆる価値観を自分自身の故郷に誇りと自信を持つこととして捉え、今の地域社会にとってなくてはならない組織であるという自覚を持ち続け、積極果敢な行動に繋げていきましょう。今の時代だからこそ、今日まで培ってきた歴史・文化・伝統を尊重し、成果にこだわり、地域社会の発展に貢献していくことが求められております。「変わらないために変わる」組織であり続けるために、継続的に目的を同じくして発信する運動展開を常に意識し、地域社会の期待に応えていかなければなりません。
すべての地域住民が幸せであるようにと願いながら、我々青年が、誇りに満ち、希望溢れる未来を大胆に夢描き、その実現へ向けて邁進し続けなければならないのです。

~すべては地域の未来のために~

「真心」と「感謝」を込めて

心と心の「懸け橋」で繋ぐ明るい未来を目指して・・・